【衆院選|その背景】公示直前に裏金問題で非公認に… 無所属で挑んだ12日間【新潟】スーパーJにいがた10月30日OA

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今回の衆議院選挙で、新潟2区の細田健一さんは、公示直前に自民党公認を得られませんでした。12日間の戦いから、無所属で選挙を戦うとはどういうことなのか、自身が起こした裏金問題がどう影響したのかに迫りました。

安倍派に所属していた自民党の細田健一さんは、564万円のキックバックを政治資金収支報告書に記載していなかったとして、今年4月に党から戒告処分を受けました。そして、公示直前の9日朝、細田さんが新たに非公認となった6人に含まれていたとの知らせが、自民党県連に舞い込みました。

■自民 高橋直揮県議
「まじで?本当に?比例(名簿の)登載(除外)じゃなくて?」

記者から伝え聞いた県連幹部たち。国会にいた細田さんも戸惑いを隠せませんでした。

■細田健一氏
「公認されなかったと、それがどういう理由かということは全く説明を受けていないので、選挙態勢をどうするかも含めて支援者・後援者とよく相談したい。」

石破総理は、裏金議員の公認・非公認の判断にあたり「地元での理解の進み具合」をあげていましたが、同じく戒告処分を受けた5区の高鳥修一さんは公認されました。

■細田健一氏
「正直勘弁してほしいと思う。いい加減にしろという気持ちはあります。」

翌朝、地元で開かれた緊急会議。始まる前から、覚悟は決まっていました。

■細田健一氏
「やるしかないと思いますので・・・(やるしかないというのは?)無所属で出馬する方向で。」

一部には、出馬に慎重な意見もあったといいます。2区で戦う立憲民主党の菊田真紀子さんはこのとき、県内最多となる当選7回のベテラン。選挙区割りで今回初対決となるなか、裏金問題の前から細田さんの苦戦が予想されていたからです。細田さんは、その足で自民党県連幹部のもとへ。「県連推薦」を受けることになりました。

■自民 岩村良一県連幹事長
「県連が推薦するということになれば、有権者・支部・党員のみなさんに安心感を与えることができる。」

■細田健一氏
「党の組織の皆さんからバックアップをいただけるというのが、実際に運動を進めていく上でも大変力になる。」

公示直前、燕市に選挙事務所を構え「必勝」を祈願しました。

■自民 高橋直揮県議
「(党本部の)この決断に対しては、未だに納得はできていません。だったら、やってやろうじゃないか。無所属でもなんでも、とにかく細田健一を勝たせるためにやってやろうじゃないか。」

■細田健一氏
「本当に厳しい戦いだと思いますが、私は無所属でも出馬すると。私を助けてください。助けてください。」

迎えた公示日。細田さんはお詫びから入りました。

■細田健一氏
「皆様方にはお詫びを申し上げたいと思います。本当に申し訳ございませんでした。」

強調したのは、「完全無所属」ではないという点です。

■細田健一氏
「自民党の人間として、この選挙、戦っていきたい。私はもう本当に後がないんです。みなさん、よろしくお願いします。皆さん、ぜひ私をお助け下さい。私をお助け下さい。」

しかし、野党は裏金問題に焦点を当てました。

■立憲 菊田真紀子氏
「裏金候補を勝たせたら、この新潟2区で裏金問題はなかったことにされてしまいます。」

■維新 井上基之氏
「いわゆる裏金問題で政治に世間の耳目が集まっています。」

包囲網のなか細田さんのもとに、自民党からは応援が来ました。かつての総裁選で、細田さんが支援した総理候補。

■自民 高市早苗氏
「私にとっては大切な同志です。」

1人で細田さんの選挙区を回り、支持を訴える旧安倍派の同僚。

■自民 福田達夫氏
「非公認ということになった。それでも選挙に出るという覚悟というのを見ていただきたい。」

対する野党の大物は、細田さんを追及しました。

■立憲 野田佳彦氏
「ここの人は、なんで非公認なんですか?反省してない6人の一人じゃないですか。全く反省してない。今ごろ慌てて公認にならないから、土下座したりしているんでしょう?遅いんですよ。反省していない。」

細田さんの事務所には、これまで通り団体からの推薦状が並んでいました。しかし、無所属のハンデは隠しようがありせん。公示前、「公認」の文字を消す作業に追われるスタッフ。選挙ポスターは、選管が設置した掲示板に限られました。公認候補は、政党が1000枚を上限に掲示できるポスターを利用することができますが、それができない代わりに、これまで利用してきた箇所にはイメージカラーの紙を張りました。新聞折込のビラに、姿はありませんでした。裏金問題をめぐり「使途不明金はない」と主張しましたが、陣営の県議は「街頭演説で足を止める人が前回より半減した」と明かしました。

追い打ちをかけたのが、選挙戦終盤に発覚した自民党本部による2000万円の提供。非公認候補側にも渡っていたことが批判されました。

■自民 高橋直揮県議
「自民党本部がまたやってくれました。相手候補は、裏金、裏金という刷り込みをこの間、ずっとしてきている。裏金議員をたたいて、日本がよくなりますか。」

細田さんは「1円も手を付けていない」と訴えました。

■細田健一氏
「大変厳しい、苦しい選挙でございます。相手候補がリードしているという報道もありますが、わたしはあきらめておりません。」

選挙戦最終日。
家族やスタッフは運動が認められる時間のぎりぎりまで支持を訴えました。事務所に戻ってきた細田さんは、支援者たちを前に最後のマイクを握ります。

■細田健一氏
「選挙はがきの『自民党公認』という部分をテープで消す作業をしていただいているのを見て、本当に申し訳ないと、かたじけないという思いでいっぱいでした。みなさんの力添えがあって、何とか駆け抜けることができました。」

涙はありませんでした。ただ、記者たちを前にこう漏らしました。

■細田健一氏
「無党派という方へのアプローチは難しかったなと(Q.この問題受けて?)ですね。」

12日間の選挙戦が終わった27日。投票締め切り直後に菊田さんの勝利が報じられました。

■細田健一氏
「心からお詫びいたします。申し訳ございませんでした。」

深々と頭を下げた細田さん。その直後、力を込めました。

■細田健一氏
「政治家人生、こういう形で終わるということに、どうしても納得できない自分がいます。次の衆議院選挙に2区から再チャレンジすると・・・。」

ただ、2倍近い得票差で敗れたことから、地元では慎重論があります。再挑戦できるのか、細田さんの先行きは見通せていません。

2024年10月30日時点の情報です。
 
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